125. バーレーン再訪1
 2月5日-2月7日 帰国する前に行っておきたかったもう一箇所は上部スワートのバーレーンです。地質調査の根拠地として使っていた Hotel Zahoor に滞在し、冬のバーレーンを体験してみたかったのです。2月5日と6日にその準備を整え、7日にラーホール空港に出向きます。当時は最速のバスでもラーワルピンディまで 6時間かかっていました。ほとんど変わらない風景をぼんやりと見ながら座席に座ったままの 6時間は、なかなかの苦行です。眠って過ごせればよいのですが、路面の状態がよくないので車はときどき大きく揺れます。眠り落ちるとすぐに揺さぶられて目が覚めてしまいます。ラーホールとピンディの間のバス移動にはうんざりしていました。それに、帰国までに使えるお金に十分に余裕があることがわかっていましたから、飛行機を利用しても問題ありません。空港に着くと、予約していた 14:15 の便が欠航になっています。次の 19:00 の便に振り替え、一旦寮に戻って時間を潰して出直すと搭乗できて、どうにかイスラマバード空港に到着。この日はピンディの安宿に泊まります。イスラマバード空港の最寄りの市街地は、実はラーワルピンディの方です。

 2月8日 イスラマバード空港に向かいます。ピンディからスワートのミンゴーラまでのバスは、「ハイエース」や「キャラバン」のロングボディを 20人くらい乗れるように座席を増やしたもので、そこに乗客を鮨詰めにして走ります。隣の乗客と腰が密着し、肩は斜めにずらした状態になります。途中で休憩が入るものの、実質約 6時間は身動きがとれません。この苦痛を避けるには運転手つきのレンタカーか飛行機かの選択になります。以前、10月31日にイスラマバード空港からミンゴーラ郊外にあるサイドゥシャリフ空港まで飛ぼうとしたとき、搭乗時刻の直前になって悪天候で欠航し、日に1便しかないので結局バスになってしまったことがあります。この空路は小型機が標高 2000 m から 3000 m の山の谷間を縫って飛びます。山を目視できないと危険なので、視界不良による欠航が多いのです。今回もダメ元でサイドゥシャリフ空港までの便を予約しています。この日はすんなり搭乗できて、ほぼ定刻に離陸しました。下の画像は離陸後にピンディの市街地を撮影したものです。この後イスラマバードの上空に差し掛かると、SF映画の宇宙基地のような姿の「シャーファイサルマスジッド(モスク)」が見えます。




126. バーレーン再訪2
 機体は北西方向に進みますが、窓からはけっこう雲が多いように見えて少し不安になります。2000 m 級の山岳地帯にさしかかると、雪が積もった山肌が自分の視線より高く聳えているのが見えます(下の画像)。機体の飛行高度よりも山の方が高いのです。山の斜面との距離感は、樹木をはっきり視認できるくらいの「近さ」です。これでは「視界不良で欠航」になることが多いのは仕方がないと納得できます。サイドゥシャリフ空港に無事着陸して機外に出ると、到着・出発兼用のゲートが二つあるだけの小さくて簡素な空港施設があり、そこを出ると駐車スペースを挟んですぐに道路です。道路脇で客待ちしているオートリキシャを拾ってスワート川に架かる橋を渡り、ミンゴーラのバザール方面に移動します。2月1日の地震で、「ミンゴーラで 4人死亡」との報道がありましたが、地震の影響を伺わせるようなものは残っていないうようでした。バスターミナルで上部スワート方面へのミニバスに乗り、スワート川沿いの道を1時間半程度でバーレーンに到着しました。観光シーズンではないバーレーンは閑散としていて、 Hotel Zahoor の客は自分だけでした。夏のバーレーンの様子は87-88に記述しています。




 2月9-10日 バーレーンの街は壁のような急傾斜地に挟まれた谷の底から一段高い扇状地にあります。冬の間は両側の壁が作る影のせいで、晴れていても陽が差す時間が短くなってしまいます。雪が積もるとなかなか溶けません。私の到着以前に降ったらしい雪は、雪かきが必要なほどの量でした。





 雪景色を眺めるために西側の斜面を登ってみることにしました。案内役としてホテルで働いているシャールームについてきてもらいます。上の画像でスコップを持っている少年です。バザールがある通りから川に沿って 10 m 程登ると緩斜面があります。ここは例外的に日当たりがよくて雪が消えています。扇状地の頂点付近から山の尾根に回り込んでしばらく登っていくと、雪を乗せた平屋根の住宅が密集している様子が見えてきます。そこからさらに 30 分ほど登ったところで雪が増えてきて、普通の靴では足元が不安定になってきたので引き返しました。





 2月11日 Hotel Zahoor のハーン・ザダ(マネージャー)、従業員のシャールーム、アリー・ラフマンとお別れしてミニバスでミンゴーラに移動します。この日は Pameer Hotel に泊まることにしました。シーズンオフなのに、前に泊まったときよりも値上げされてシングルルームが490ルピーでした。バザールを徘徊してミンゴーラの様子を記憶に刻みました。

127. バーレーン再訪3
 2月12日 オートリキシャを拾ってサイドゥシャリフ空港に出向くと、例のごとく「視界不良のためフライトキャンセル」となっていました。バスでピンディに戻るのは苦痛なので、この機会にぺシャーワルに立ち寄ることにします。ミンゴーラからぺシャーワルまでは 4時間くらいなので、ピンディに直行するよりは苦痛が少なくて済みます。ハイバルバザールの西端にある Rose Hotel に転がり込みます。3人用の部屋を 1人で使って 130 ルピーでした。 Rose Hotel は 偵察旅行のときに初めてぺシャーワルで滞在したときにも利用しています(48に記述)。便利な場所にあって格安なのに、室内は清潔で気分良く過ごせます。客室に冷房はありませんでしたが、冬なら問題ありません。この Rose Hotel とミンゴーラの Pameer Hotel は現在(2021年7月時点)も同じ場所で営業しているようです。

 2月13-14日 ぺシャーワルのバスターミナルからフライングコーチに乗り、イスラマバードまで移動します。4時間程度ですが、車窓の風景がけっこう多様なので、ラーホールからピンディまでのバス移動よりは「苦行レベル」が低くなります。記録が雑になっていて、イスラマのどこに泊まったのかわかりません。

 2月15日 ラーホールまで飛行機に乗るためイスラマバード空港に出向くと、またしても「フライトキャンセル」を喰らってしまいました。バスには乗りたくないので、別便に振り替えてもらって、どうにか学生寮まで戻れました。


...つづく

Indexに戻る